岩﨑精正堂の仕事
Work of IWASAKI SEISHODO
紙や絹に描く日本画は、しみ、折れ、絵の具の剥落、裂地の剥がれなど時間とともに劣化します。表具師の仕事は、そうした劣化を食い止めて絵を補修ことです。
表具師の仕事はマイナスをゼロに戻す単なる修理屋という捉え方をされることもありますが、我々は本質的には「元に戻す」ことが仕事とは考えていません。作品の持つ独自の色調や歴史の過程で帯びた風合いを損なわずに作品をベストな状態に蘇らせる必要があるからです。お客様の大切な作品を責任持ってお預かりするということは本質的にどういうことなのか。我々は考えつづけ、仕事に対して誠実に向き合うことを忘れません。
ここでは岩崎精正堂の仕事に対するこだわりをご紹介させていただきます。
作品の新規制作
岩崎精正堂では長年培ってきた補修技術を活かして、新規作品の制作もおこなっております。
法名軸のような古来からの伝統的な作品から、現代の生活様式に合わせたオリジナル商品まで、幅広く制作させて頂くことができます。発想力と技術力を集約したオーダーメイド性の高い新商品の創作は、伝承されてきた技術を現代社会においても息永く根付かせるための試みとして重要視しています。
法名軸
写真掛け軸「かけフォト」
こだわりの道具
表具は良質な材料を求められ作り出します。
道具類もそれを生み出すための匠たちの技が結集してこそ成り立つ仕事と思っています。
糊
安易な接着が可能となる人工的な合成材料による弊害が考えられるため手間を惜しむ事なく気候風土に適した配合により全て手作りとしています。
紙
千年以上もの歴史と風土、そして職人の誇りが漉き込まれた手作りの最高級和紙のみを使用します。白土が含まれた紙は固有の柔らかみがあり虫がつきにくく、長い年月が経っても作品がそのままの状態を保ちつづける特長があります。対象作品によっては十年以上寝かしたものを使用することもあります。
刷毛
作品にダメージを与えず、ミリ単位の細かい作業にも対応できるよう、しなやかでこしのある上質な刷毛を厳選します。作業工程や作品の状態に合わせて、40本以上ある刷毛の中から最適なものを選び出して使い分けます。毎回ベストな状態で作業できるよう、作業の都度、丁寧に洗浄し手入れをする手間を惜しみません。